自分レベルの出力はすませる
- Masayuki MASUDA
- 1 日前
- 読了時間: 2分
諏訪邦夫著「論文を書いてみよう!」は,いまから20年も前に出版された本である。僕が買ったのは15年くらい前である。とてもよかったので2冊目を購入した。
ごく一部の人たちを除いて,普通はたくさんの文字を書くのは苦手だろう。僕もまったく同じで,PCの前で指をおいたまま固まってしまうことが多かった。締め切りが迫っているなか本当に苦しかった。
本書を読んで救われた言葉あった。それは「天才でもない凡人が世の中をあっといわせるような大作を生むのは所詮無理で,それよりも,とにかく自分レベルの出力はすませておく」と書かれていたことである。くわえて「自分にわかっていることだけ書くなら可能」とあった。
素晴らしい作品を書こうなんてまったく思わないし,そのような能力もないのだが,「せっかくだから恥ずかしくないものを」なんて考えると,とたんに筆が進まなくなった。
このことは,かつての勤務先のトップの方にも貴重なアドバイスをいただいた。著名な先生だったが,「でき栄えはともかく,とにかく仕上げること」が大事だと教えていただいた。
この点でも著者は,「直接文章を書かないで,メモ書きから文章に仕上げていく方法」を教えてくれた。この方法で書けない病をある程度克服することができた。とてもありがたかった。
いまの時代ならAIにアイデアをもら,完成品を作ることも可能だろう。しかし,それで本当に考える力や書く力は身につくのだろうかと,昭和生まれの人間は考えてしまうのである。

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