「ストーリーがない戦略」は「いけてない戦略」
- Masayuki MASUDA
- 5月31日
- 読了時間: 2分
いわずと知れた名著で読んだ方が多いと思う。なにせ30万部以上も売れているのである。僕は図書館をうろうろしていて,本書が目にとまったので久しぶりに再読した。
著書の楠木先生の主張は,優れた戦略は企業にとって生命線であり,戦略の優劣の基準は「そこにストーリーがあるか」ということである。
先生は「ストーリーがある」ということを示すために,「ストーリーがない」状態を説明している。
「ストーリーがない」=「いけてない戦略」のプレゼンテーションを例として,次のように述べている。
たとえばタイトルは,「X事業のV字回復戦略」とか「新たなビジネスモデルの創出」などの元気満々のタイトルがついている。
内容も,実にいろいろな要素が盛り込まれていて,たとえば,市場の環境やトレンドがどうなっているのか,ターゲット・マーケットとしてどのセグメントをねらうか,どういう仕様(サービス)をどいうタイミングでリリースするか・・・(省略)。
しかし,これでは「項目ごとのアクションリスト」にすぎないと指摘します。そうした戦略の構成要素が,どのようにつながって,全体としてどのように動き,その結果,何が起こるのか。
「ストーリーがない戦略」は,戦略全体の動きと流れが,さっぱりわからず,戦略が「静止画」になっていると指摘する。プレゼンテーションが静止画になりがちな自分には耳が痛かった。
理解力の乏しい僕でも,楠木先生の説明で「ストーリーがない戦略」のことがはっきりとわかった。話はそれるが,この説明力の高さこそがベストセラーの源でもあると思った。
ストーリーがあるプレゼンテーションの考え方を身につけて実践できれば,実務家だけでなく,たとえば就職・転職活動の中の人にも役に立つだろう。
本書は,出版から15年が経過してもなお,たくさんの学びを与えてくれる。読むべき価値のある名著といっていいと思う。

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