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  • 執筆者の写真Masayuki MASUDA

「空気」を読まないで発言できる組織風土が重要

15年ぶりくらいに山本七平先生の本を読んでいる。山本先生は「空気の研究」の著者で有名なのでご存知の方も多いだろう。


山本先生は,帝国陸軍の下級将校として招集された経験から,「日本には誰でもないのに誰よりも強い「空気」というものが存在し、人々の行動を規定している」と看破した慧眼の持ち主である。


山本先生は「日本軍は対戦国を前にして,はっきりとした目標も,そこに到達するための合理的な方法の探究もなく,何一つ的確な教育も訓練もできていなかった」という。


しかし,そのようなことを内心は知っていながら,正面から指摘できる「空気」もなく,現実を見ないようにしていた人たちが相当数いたはずである。


とはいえ,組織がうまくいっているときはいいが,そうでないときは組織がだめになるまでただ流されるだけになるので,ある意味で「空気」を読まずに行動して組織の方向性を変える必要がある。


当時の軍隊でいえば,組織戦略の矛盾などに敏感なのは,大学を卒業した高学歴層であっただろう。しかし日本軍は「インテリは兵隊には向かず,学生は軍人に適さない」として最後の最後まで学生を信用していなかった。


つまり,耳の痛いめんどくさいことを言わない従順な者たちで組織を固めたかったのではないか。


いまの時代に置き換えて考えてみると,日本ではとりわけ文系においては,学んで専門性を身につけた者の採用が進まない理由がよくわかる。


それは,しっかりと学ぶほどに組織の論理矛盾には敏感になるし,それを「空気」を読まずに口にされたらコントロールが難しくなるからである。学んでいない上層部や上司にとって,下の者にへたに学ばれると厄介なのだろう。


先日ある研修にオブザーバーとして参加させていただいたときに,著名な学者の先生が,「もっともっと科学に頼りましょう」と言っておられた。

組織が直面する課題を解決するうえで,すでに科学に裏打ちされたさまざまな知見があるからだ。


とはいえ,科学の知見を使いこなすためには多少トレーニングが必要である。

したがって,組織はそうしたトレーニングを積むように従業員をモチベートしたほうがいいし,トレーニングを積んだ人たちが「空気」を読まずに発言するような組織風土を醸成することが重要だと思う。


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