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  • 執筆者の写真Masayuki MASUDA

真剣勝負のなかで人を育てる

ホンダの第2期F1の栄光の歴史は、まぎれもなく第4代社長の川本氏の功績が大きい。まず川本氏は、たった3人でF1の下のカテゴリーであるF2のプロジェクトをスタートさせる。


なぜF2かといえば、ヨーロッパの自動車レースの世界の市民権を手に入れてから、F1に進出する必要があったからである。


川本氏によると、勝つためには条件があって、将、兵、戦略、戦術、新兵器が全部揃っていることだという。


このとき、将は自分で、兵にはとにかく夜寝ない奴という条件で、酒ばかり飲んで仕事はしないが体力だけはある、という人物を抜擢したとある。


その背景には、「人間の能力はそんなに違わないので、あとは持ち時間だけ」という考えがあった。


かつて指導を受けた先生も、大学院生の発表を見て即座に労働投入量を見破ってみせた。たしかに要領の良い人のなかには、手間をかけずにさっさと発表資料を作れる人がいる。


一方、要領の悪い人のなかには、一見無駄と思える資料も愚直に集めたうえで時間をかけて発表資料を作る人がいる。


研究では、後者のように泥臭く努力できる人のほうがいい場合がある。決してアマタの切れだけではないのである。


閑話休題。

ホンダにとってレースは人材育成の場である。走る実験室で若いエンジニアたちを育ててきたのだ。


現在のF1の世界はそんな時代ではなくなったように見えるが、ホンダにとってレース活動は魂(ホンダスピリッツ)の伝承ために必要だと思う。


いまなら間違いなくブラック職場だろう。ただし、ワークライフバランスを一切無視した人たちがいたおかげで数々の偉業を達成できたのも事実である。


ブラック職場がいい、というつもりは毛頭ないが、仕事も研究も勉強も、コンフォートゾーンの外で真剣勝負をするからこ人が育つというのは一定の真理だと思う。




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