誠実な研究者というもの
- Masayuki MASUDA
- 2024年9月14日
- 読了時間: 2分
ひさしぶりに、「喜嶋先生の静かな世界 The Silent World of Dr.Kishima」を再読した。はじめて読んだときには「先を読むのも惜しい」と思わせる作品であった。
読んだ当時はとても苦しかった時期で、主人公の指導教員のセリフに本当に救われた。ここに要約をご紹介する。
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何を研究したら良いかを自分で決められるようになったら一人前で,天才でもないかぎり学生にはできるわけがない。それはどんなに立派な研究者でも同じ。
常に考えているのは,どう考えれば良いかではなくて,何を考えるか。問題はどこにあるのかをいつも考えている。
問題さえ見つければ,あとは解決するだけ。そんなことは誰だってできる。
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やはり意味のある研究テーマを設定することは難しいのである。僕にはできなかったのも無理はなかった。
また,学会発表を控えて,もっと表現豊かに振る舞ったほうがいいのでは?と迷う主人公に以下のようなドバイスをしてくれた。これも本当に勇気づけられた。
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棒読みでいい。気にするな。上手くこなそうなんて思わないこと。言葉は内容がすべて。
本人があがっていようが,読み間違えようが,論文の価値にはなんら関係ない。
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ここを読んで自分の師匠の言葉を思い出した。
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美しいパワーポイントのスライドを作って、研究の内容が乏しいことを誤魔化してはいけない。そんなことに気を配る暇があるのなら(論文の)内容に磨きをかけなさい
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本書の指導教員と師匠は随所で驚くほど似ていた。
たとえば,相手が学生でも教員でも口調は変わらない。社交辞令のような余計な言葉は一切口にしない。
自分の心のまま,考えたまま,正直に言葉にするところなどそっくりである。
本書では,それが誠実な研究者というものだといっている。
それにくらべてなんと自分は不誠実なのかと思う。
それはさておき、これほど面白かった小説もなかなかないので、ときどき読み返したい。

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